TRAVEL 中欧編

やっぱ現実でしょう 2001.5.13

数日間の留守だったが、再び姿を見せたTassiにホテルのスタッフはとても好意的だった。ホテルといってもほとんど家族経営で、言うなれば民宿のようなもの。スタッフも気心しれた仲間ばかりといったところか。食事もなるべく地下のレストランで取るようにしているうちに、だんだん彼らとうち解けあえることができた。物価や政治の話からそれこそ猥談まで、筆談を交えての会話はとても楽しいものだった。しかしお互い全て片言なので都合の良いように解釈して、それぞれ勝手に笑っていたのかもしれない。まあそれでも楽しい時間を過ごせてとてもしあわせだった。

レストランにはいつもいろいろな人が出入りしていて、最初に遭遇したアコーディオンのおっさん(たぶんTassiより若いかもね)もそうだった。名前はゲンチョといい、以前はフランスかどこかののオーケストラでファゴットを演奏していたが、今はブルガリアに戻っているとのこと。現在どういうワケで酔っぱらい相手にアコーディオンを弾いているのか分からなかったが、何となく察しがついた。
ある時彼にブルガリアの弦楽器について聞いてみた。そしてぜひ現物を見てみたいと言うと、明日の夜に案内するというではないか(どこかというのは不明だったが)。とうとうバルカンの弦楽器に出会える!確かタンブールと言う名前だったっけ。しかしゲンチョは結局翌日夜遅くなってホテルに現れ、Tassiとの約束はすっかり忘れているようだった。悪気はなかったのだと思う。いやもしかしたら生きていくのに精一杯で、そんな約束にかまっていられなかったのかもしれない。
そう思ったTassiはタンブールの話はあえて切り出さなかった。残念ではあったが民族楽器を求めてさまよい歩くTassiと、目の前にある現実の生活を生きていく彼らとのギャップを、いやでも感じざるを得なかった。

写真はアコーディオン弾きのゲンチョ。こんな格好で写真に写るのはイヤだと言っていたが、無理矢理に写ってもらった。どことなくポーズが固いね。