TRAVEL 中欧編

安いが一番...じゃなかった 2001.5.11

イスタンブールの空港ではチェックインをスムーズに済ませ、ホッと一息をついて機内に乗り込んだ。なにせ今回は楽器が1台もないのだ。安心して空港レストランでワインなど飲んだせいか離陸前に寝てしまった。1時間ほど経って目が覚めるとエンジン音は聞こえず静か。まさか墜落中?と思って窓の外を見るとまだ空港の中だった。つまり離陸前ということだ。どうも機体のトラブルらしい。結局1時間半遅れでソフィアに向けて離陸した。おいおい本当に機体は大丈夫か....そんな心配をしながら、実はもうひとつの大きな不安が頭の中をよぎっていた。それはソフィアの空港に誰も迎えに来ていなかったらどうしよう、ってことだ。空港周辺のタクシーは質が悪く出来れば使いたくない。彼らが迎えに来てくれるならその方がありがたいのだが、果たして待っていてくれるのだろうか?

悪い予感は的中した。約2時間遅れで到着したソフィアの空港には、出迎えの人間は一人もいなかった。空港に着いた旅客は一人減り二人減り、とうとう最後に残されたのはTassi一人になってしまった。空港の外には手ぐすね引いて獲物を待つ、見るからに小狡そうなタクシー運転手たち。これじゃ深夜にソフィア駅に着いた時と同じではないか、ガクッリ。期待はしていなかったがホテルに電話を入れると、つたない英語でスタッフの一人が、そのまま空港で待てと伝えてくれた。ということは迎えに向かっているな、ちょっと一安心のTassiだった。一国の国際空港のはずだがソフィアの空港はかなり小さい。日本の地方空港よりも小さいと思う。ともかく最終便でなかったのがせめてもの幸運だったのはまぎれもない事実である。

迎えの車を運転していたのは、ホテルの地下レストランで働いているコック、そして助手席にはホテルのフロントで働く例の若い男。行きに送ってくれた男は、仕事があるので2時間も空港にはいられないってことで、さっさと帰ってしまったのだと。出迎えは仕事中のバイトだったのね。結局Tassiは二人分のバイト代を払う羽目になってしまった。待たされたあげくに結局高くついたってワケだ。後日談だが、イスタンブールから安いという理由で、郵便を使って送られてきたSAZは破損していた。そりゃそうだろう、ただ段ボールで無造作にくるんであっただけだからね。「安かろうは悪かろう」ということを思い知らされたよ。

写真はソフィア着陸寸前の風景。Tassiの行く末を暗示しているのか暗雲立ちこめた感がある。でもホントはとってものどかな田園風景で、これを見られただけでもソフィアに来た甲斐があったと思っているのだ。