TRAVEL 中欧編

ラテンの腰つきは何処 2001.5.7

夜行に乗って着いた街はブラショフ。ルーマニアの山間の静かな街だ。ブダペストを夜の11時半に出発して約12時間の長旅だった。途中の国境駅では厳しくパスポートコントロールが行われる。ぐっすり寝ていようがかまわず起こされるのだ。西ヨーロッパ(EU諸国)では今やパスポートをチェックされることはほとんどない。10年前でも寝台車に乗ってさえいれば車掌がそれを代行してくれて、まずたたき起こされることはなかった。予想はしていたものの、厳しい目つきの制服を着た人間にチェックされるのはあまり気持ちの良いモノではない。厳しいだけではなく、私利私欲の混じった彼らの狡猾な目つきをTassiは見逃さなかった。朝食を取りに食堂車に行くが、そこは食堂車と言うより、オンボロのテーブルと椅子が置いてある荒涼とした場所。そこで働いている人間もちょっと荒んだ感じで、明らかに今まで旅してきた場所とは違う匂いのする世界を感じた。

ブラショフでは音楽、楽器ネタに乏しく、観光メインで過ごすことにした。町の中心部は綺麗だが、駅周辺の治安はあまり良くない。また駅でホテルの勧誘をしている人から感じる親切の裏に見え隠れする欲望など、後になって考えるとこの国の人たちが必死に生きている理由が解るのだが、Tassiはルーマニアに対してあまり良い印象は残っていない。やはり出会った人が悪かったのだろう。

写真は2日間滞在したブラショフからブルガリアのソフィアへ向かう列車の中。およそ16時間の長旅なのだが、食事はサンドイッチ2個だけ。そんな自分を撮っておこうとカメラをセットした。しかしその後そんな余裕すらも無くなるとは夢にも思わなかった。