TRAVEL 中欧編

ハンガリアンなお宝 2001.5.4

● 店にある楽器はハッキリ言って駄モノばかり。もちろんこんな言い方は失礼を承知の上ですが。店員もどことなくやる気のなさが漂っています。「やる気のなさ」は、いきなり現れた東洋人の対応に困惑した姿が、Tassiにそう映ったのかもしれません。あるいは共産主義時代の名残でしょうか。おやおや棚の上にあるモノは、今まで見たこともない楽器。でもTassiにはピンッときましたよ。これはアパラチアンダルシマの一種だろうな.....ってね。店員にとにかく一番良いモノを見せてくれるように頼んで、さっそく品定め。思った通り手前に張ってある弦は、何かで押さえて弾くようになっています。指あるいはボトルネックのようなモノでしょう。アチラ側にある弦は、開放のまま弾くドローン弦の一種みたいです。どうやらコレはダルシマというよりチターの仲間でしょう。

さてどうしたもんかなあ......。こんなもん買って帰っても使い道はほとんどなさそうだし、おまけに木全体が厚いせいか重さも結構ある。それにケースは無いというからなおさら持って歩くにはちょっと無理かも。困った.....。困った時はこのヒトコト「お金両替して後で来るから取っておいてね!」これに限る。店を出たTassiはしばし考えた。日本を発って早十日、この先楽器を見つけられるという保証はない。ハンガリーもたぶん今回限りだろうしなあ....。気がつくと足はDHLのオフィスに向かっていた。(観光のついでに何げにDHLにチェック入れておくところは評価して欲しい!)

日本までDHLで空輸すると約40,000円程掛かるという。これじゃあ楽器の値段とほとんど同じだ。「使わないと分かっている楽器をわざわざ買って送るのか、それも高い運賃払って。使わない楽器は買わないのがポリシーだったろう?」かろうじてまだ正常な脳はTassiにごもっともな忠告をしてくれる。かと思えば「もう二度と来ないんだから買えるモノは何でも買ってしまえ!!」と物欲大魔王は耳元で囁く。いずれにせよ一旦楽器屋に戻らなければならない。おまけにDHLの閉店時間も刻々と迫っている。ええい、結論はバスの中で考えよう。Tassiは急いでバスに乗り、閉店間際の楽器屋にたどりついた。