TRAVEL 中欧編

頭でっかち 2001.5.4

Tassiが初めてウードを触ったときは驚いた。まずフレットレスだから音程が安定しない。ナイロン弦でフレットレスかい....、まあスティール弦よりは押さえやすいと思う。またあまりのネックの短さにビックリした。いやいや正確に言うならば、全体の弦長に対してネックの長さの占める割合が短いということだ。ギター的な発想で12フレット辺りを押さえると、何と5度ぐらいしか音程が上がっていない。なんだか不経済な楽器だな.....何じゃこりゃ。ホント、その時はそのぐらいの印象しかなかったが、今じゃこの楽器の虜だから不思議なモンだ。

写真右の楽器はリュートの様だ。いやいや、リュートに違いない。しかしそれにしてもネックが短かすぎはしないかい?おまけにネックも「く」の字に折れていないし......うーーむ謎は深まるばかりだ。左の楽器はビオラダガンバか...?それにしてもこの2台とも頭でっかちだなあ。へたすりゃあネックと同じサイズだぞ、いやそれ以上だ。こういうことはCRANEの鶴田師匠が詳しい。そろそろ登場かな.....。



■ 呼ばれて飛び出て登場の鶴田です:左はヴィオラ・ダ・モーレですね(典型的12弦ですが6単弦やさらに多弦もあった)。右は弦長がわかりませんが、印象で推理しますと、ソプラノリュートもしくはディスキャントリュートだと思います.........じつはこのテの判別がいちばん難しくて6コースマンドリンのように似かよったものが長い時代にわたって各地で作られ、しかも用途も様々(とくに18世紀)だったようなんです。リュートと一言でいってもネックの折れていないこういったヘッドのリュートもあってややこしいです。でも、この2本の楽器、スタイルこそ17世紀、18世紀風で古いのですが、おそらく製作されたのは比較的新しくて19世紀以降のコピーでしょうね。右のを1本ください。