TRAVEL 本編

薬剤噴霧器 1997.4.15

イスタンブールの楽器博物館。この手の擦弦楽器は、正直いってTassiはあまり詳しくない。多分「ケマンチェ」だったと思う。ちなみにペルシャ語でヴァイオリンのことを「ケマン」と言うそうだ。「チェ」は何だか分からない。ということはこの楽器はペルシャ、中東界隈の由緒正しい楽器なんだろうか....。飾ってある絵では立って演奏しているが、椅子に座って足を組み、ボディー下の棒を足にあてがって弾くスタイルもあるようだ。たぶん楽器の大きさによってその演奏スタイルが違ってくるのだろうか。小さいものだったらアグラをかいて弾くことも可能だろう。いずれにせよヴァイオリンのように顎に挟むのではなく、チェロのように立てて弾くことだけは間違いない。待てよ...ケマンチェの「チェ」はチェロの「チェ」か....?んなわけないって。

このテの楽器で日本人によく親しまれているのは、中国の二胡(胡弓)だろう。二胡は弦がネックからかなり離れているので、左指はいつも宙に浮いている状態だ。こいつは結構ムズカシイ。安定したピッチ感、そして弓さばき(弓の両面を使う)がポイントだ。以前二胡の演奏家「賈 鵬芳/じゃあ ぱんふぁん」さんと何回か演奏する機会があった。その時に二胡を触らせてもらったことがある。きっとTassiがあまりに欲しそうな顔をしていたんだろう、彼は現在使っていない楽器とTassiのカメラと交換してくれると言ってくれた。弦の振動がダイレクトに左指に伝わってくる感触が何ともいえず、ついクラクラッとなったが辞退した。「足るを知る」というのだろうか、きっと手に入れても「ただのコレクション」になってしまう気がしたからだ。

さてこのケマンチェは二胡と違って弦は宙に浮いていない。またネックは円筒形だが、二胡よりはちょっと弾き易そうだ。それにしても小さい頃こんな形をしたものを見たなあ、何だったんだろう。夏に殺虫剤を撒くときに使ってたような....。やだね、昭和30年代生まれの発想は......。