TRAVEL 本編

はしゃいだ代償 1995.4.3

Tassiはいつも移動に鉄道それも寝台列車をよく使う。それにはいくつかワケがある。まず寝ている間に次の都市に移動できるメリット、そして何よりも食堂車があるということだ。日本も国鉄時代はほとんどの列車に食堂車が連結されており、ゆっくりと旅の気分を味わえたものだった。雪の北陸を窓越しに眺め、日本海の荒波をサカナに一杯やる(ちょっと演歌入ってますなぁ)なんてことが十分味わえたのだ。ところが今はどうだろう、長野にまで新幹線が開通して何と1時間程で着いてしまう。確かに移動は楽になったが、結果日帰りを余儀なくされる羽目になってしまった。よし新潟で吟醸酒いくぞ〜とか、仙台で牛タン喰うベ〜、あるいは長野で馬刺で一杯、なんてことはもう不可能!!特に予算のキビシイ仕事の時は。何とか最終に間に合えば、東京に戻されてしまう。ああっっミュージシャンのカナシサ......。え〜と、食堂車のハナシでしたね。

移動時間の短縮と採算の理由から、日本では食堂車は現在一部の列車にしかついていない。だからコンサートツアーで全国を回る時も、列車移動の時はちょっと不満。そんなわけで食堂車の連結しているヨーロッパの列車はとても魅力的だ。あっちは陸続きなので列車移動に時間がかかる。12時間なんてざらである。だから食堂車はまず無くならない。出てくる料理はまあそこそこだが、暮れ行く外の景色を見ながらのゆったりとした食事は、旅の醍醐味を味わえることこの上ない。おまけに午前2時ぐらいまでは営業しているので、盛り上がる盛り上がる。閉店間際は車掌やボーイまでがわきあいあいとやっている。しかし列車は非情にも終点に着く、それも朝早く。「あと5分....」ってわけにはいかない。楽器を両手に持ち重いリュックをしょい、ホームに下り立ち連絡の列車を持つ。うっうっ.....朝日がまぶしい、おまけに二日酔いだ。今度こそはちゃんと....と思うのだが寝台列車の過ごし方において、Tassiは学習能力がないようだ。写真は早朝のがらんとしたマドリッドのチャマルティン駅で連絡列車を待っているところ。