TRAVEL 本編

物凄いコレクション1 1990.9.25

バルセロナの楽器店、「CASA PARRAMON」のコレクション。「自分とは何モンじゃ〜い?」とにかく楽器なんかに目もくれず、ひたすらできるだけ多くの国を見て回ること、90年の旅の目的はこれだった。が、偶然に発見した楽器店で弾いたガットギターが、これまた良かった。それまで持っていた「さ○○い」のとは比べ物にならないほど。巻弦の音の太さといったらそりゃあ絶品でしたわ。さすがにスペインものは違うなあと思った。バルセロナに行くたびにこの店に来るが、どうやら試奏するこの場所にヒミツがあるのに気がついた。もちろん日本でもイイ音がするんだが、ここで弾くともっと良い。自然なエコーが良い気分にしてくれる。騙されたワケじゃないんだが、ちょっとクヤシイ。写真はここの主人のコレクションの一部、売りもんじゃありません。
日本の琵琶もしっかり壁にディスプレイされていた。楽器の解説は省略。こういうものは「ええなあ〜〜....」とヨダレをたらして見ていればよい。まちがっても欲しがってはイケナイ。知ってもイケナイ、知るともっと欲しくなる(猿の惑星か....)。でもそれじゃあんまりだから、イイ人をを紹介しよう。CRANE HOMEPAGEの鶴田さんだ。リュート、19世紀ギターなど古い弦楽器には相当詳しいので(と勝手に決めているが)、彼がきっと解説してくれるはずです、と思います、じゃないかな....(鶴田さんお願い)。このページからもリンクされているので興味のある方はどうぞ。



■ はは〜〜〜ぃ!鶴田で〜〜〜〜す!
田代さんからお呼びがかかったのでちょいとばかし薄識をふりかざして登場(←アブナイなぁ〜〜)。

写真右端のヴァイオリンのようなヘッドを持つ小柄なギターは6コースのQuinterna (17世紀初頭に見られたリュート族の楽器)のようですが表面板の状態などからレプリカだと思います、たぶんM・プレトリウス「シンタグマ・ムジクス」の挿し絵をもとに制作されたものではないでしょうか。確証ナシ(←をひ!をひ!)。

その隣はビウエラ(ビウエラ・デ・マーノ)。ルネッサンス期(15世紀から17世紀初頭)にスペインでさかんに演奏された楽器で、この写真は6コースのレプリカのようです。
側板はマホガニーかローズウッド系の材料.... 。 ヴィウエラはオリジナルの(当時の)楽器が世界でも数本しか残っていないとされており、実態は謎が多いです。

その下のハデな背中を見せている楽器はウードですね。ヘッドの形状からシリアあたりのものではないでしょうか? しっかし... 鬼のような装飾ですなぁ〜〜。

ビウエラの隣はマンドリンでしょうけど詳しいタイプについては存じません、スンマセン...。すぐ上のすごくちっちゃいのはバグラマのミニチュアっぽいですが、ペグとかの作りを見る限りでは実用に耐えるべく製作されたようです。欲しい....。

中央の舟のような楽器はハーディガーディ。12世紀ごろシンフォニアという楽器がもとになっており、協会や宮廷で合唱の伴奏に使われていましたが、のちに興行楽士や乞食の楽器としてスペイン〜ロシアで弾かれるようになってしまいました。個人的にはすごく好きな楽器です。その道の人にいわせると演奏が難しく「ギョ〜〜」となりがちとか ... 。ボディはリュートのようなボウル状のものやガンバ風のわりと平坦な裏板をもつもの、あるいはイカのようなボデイ形状のもの(ヘンリーIII世型)などがあります。ハーディガーディの多くはドローン弦と呼ぶ持続低音弦が張られていて、あえてうなりを出すコマが付いているものもあります。
※クレーンホームページにハーディガーディをキットで作ろうという特集記事があります。

その下の2本の楽器は19世紀初頭のギターですが、ヘッドのスタイルとヤレ具合から見てスペインのオリジナルの楽器だと思います。
博物館にあってもよさそうな貴重な2本ですね。

ハーディガーディの左の2本はヴァイオリンですが、まるっこいボディのヤツはたぶんフランスのF・シャノーが19世紀初頭に製作した類いのものでしょうか。

長くなるのでこのへんで ...