TRAVEL 本編

フォルクローレ 1990.9.15

初めてのヨーロッパ、そしてフランス人のちょっとした意地悪な行為に敏感になっていた時に、偶然に彼らに会った。彼らはいつもメトロ(地下鉄)構内で演奏していた。ふだんならそのまま通り過ぎてしまうのだが、そんな自分の心境もあって、1時間以上も聞き入ってしまった。いや〜沁みた....心に沁みた。癒されたと云ってもよいだろう。右端のサンポーニャを持っている人がケーナも吹く。それは今まで聴いた中で一番のものだった。またサンポーニャの迫力あるブレス音、そして2人の吹き分けのコンビネーションなど、聴くもの全てが新鮮であったし、また感動モンだった。よく見ると黄色いバッジを付けているのがわかる。これは「メトロの構内で演奏してよい」という当局のお墨付きだ。全てのミュージシャンに「葵の印篭」が与えられるわけじゃないけれど、フランスってすごい国だとその時思った。

その後何度もパリを訪れたが、バッジを付けている人を見かけない。この制度は現在施行されていないようだ。チャランゴを弾いているのはアントニオ・ペレス。彼は「ルス・デル・アンデ」というグループで数年前に来日している。日本人の木下尊惇氏が在籍しているので、フォルクローレファンの中にはご存知の方も多いだろう。本来チャランゴはストラップをつけないものらしいが、Tassiは最初に彼を見たので、このスタイルが正しいと信じてしまった。まあもっとも自分の弾きやすい方法が1番だから、この際人の意見はどうでも良い。Tassiは彼の信奉者である。95年に偶然メトロ構内で再会したときは感激だったなあ。




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