TRAVEL 本編

対岸の火事 1997.4.11

オペラ座の近くの路上でのスナップ。朝の活気に満ちた街で、これから帰途につくのだろうか、アル中気味のちょっと寂しげなアコーディオン弾きに出会った。ウ〜ン、出会ったというのは正しくないな、見てしまったと言うほうが適当か。ハダカの楽器に腰をかけ、休むでもなく何やらブツブツ呟いている。これからの行動がちょっと気になる。Tassiは急いでいたんでこの場を後にしてしまった。ミュージシャンが同業者を撮る時、どこかに自分と共有する部分を重ね合わせている瞬間がある。特に演奏している姿には、ミュージシャンでなければ分からない「思い」があるのだ。最近Tassiは多くのミュージシャンの写真を撮っている。まだヘタクソなんでダメ写真ばかりだが、どういうわけかごくたま〜にそこそこのものが写っていることがある。これもそんな1枚(と本人は思っているが)。「いつかは」あるいは「いや、おれは」なのか分からないが、複雑な気持ちでシャッターを押した。