TRAVEL 本編

物凄いコレクション3 1990.9.25

バルセロナの楽器店、「CASA PARRAMON」のコレクション。左上に見えるのはいったいナンだ?マンドーラの様でもあるがバグラマにも似ている。しかしこに小さいの、あのでかいスペイン人の手で弾けるのだろうか。あっそうか、コレクションだからスペイン人が弾いたわけではないか....。興味のある方、調べて教えて下さい。
この店でガットギターと、ついでにラウドまで手に入れたTassiは、夜行列車で南フランスのニースへと向かった。時刻表によると本来直行便であったはずなのだが、国境の駅で全員が降ろされた。パスポート・コントロールである。今や西側ヨーロッパ内は、パスポートなしで自由に行き来できるが、この当時は国境では必ずこの儀式があった。一度駅舎に入れられ、制服の係員による荷物チェック、「中身は何か」とか「この白い粉ナ〜ニ」といった質問などと、パスポートと本人を厳しくチェックしていた。Tassiの番がやってきた。係員の鋭い目はすぐに楽器に注がれた。
「これなんだ」「見りゃわかるだろう、ギターだよ」もう1本はラウドだったが、彼らに楽器の違いを説明しても無駄だと思ったTassiは、ギター2本と答えたのだった。しかしこれがまずかった、おまけに非協力的である。密輸と疑った係員はしつこく迫る。「なんでギター2本も持ってるんだ」「あたしゃ日本のギタリストで、はるばるスペインまで来たんで、せっかくだから2本買ったのよ〜ん」と話は平行線。Tassiのところで列は渋滞、ホームでは乗り換えのニース行きが出発を待つばかりになっている。別の係員が後ろの連中を次々とさばいている。Tassiは一人厳しくチェックされる。係り合いになりたくない多くの日本人乗客は、Tassiを無視して横をすりぬけていった。一瞬、映画の「ミッドナイト・エキスプレス」が頭の中をよぎった。冤罪で捕まり、このままケームショ行きか...。