TRAVEL 続編

マグロは三崎か東京か? 1999.5.11

20分ほど歩いただろうか。緩やかな下り坂を降りて行くと、さっきまで小さく見えていた小山がずんずん迫ってくる。けっこう街はずれまで来てしまったようだ。途中心配になりながらもなんとかたどり着いた所は、う〜ん....ヤマハ的な大型店だった。前の店で懲りているのでそう簡単には喜べないぞ。まずは外からそっと観察、そして中を伺う。あまりうろうろしていると不審がられるだろう、何せこの街では一度も東洋人の顔を見なかったしね。不安とあきらめ、そしてほんの少しの望みを持って店の中に入る。奥の接客用のソファーには店主とおぼしき中年の男、そして手前のカウンターには若い男が立っていた。若い方にブラゲッサのことを訊ねる。もちろんぶら下がっているのは一目で安物と分かる代物だ。奥から別のを出してきたがそれも似たようなものだった。事情を話すと安物しか置いていない理由を教えてくれた。

この手の民族楽器は手工品なのでそう多くは作れない。また高額なモデルは、よほどのことがないと売れないし、必要としている人もほとんどいない。イイものが欲しければ直接製作家のところに行くべきだろう。プロの演奏家は皆そうしている、と。なるほどもっともな意見である。確かに需要の多そうなポルトガルギターにはマトモなものがいくつかあった。それにしてももう少しマシなのがあっても良さそうなのになあ、ブラガなんだから、原産地でしょ。これだったらポルトの店「LAMIRE」の方がまだイイじゃん。

!!......Tassiはひらめいた....これは鮨ネタの原理といっしょか。いくら三崎や焼津のマグロが旨いといっても、いいものはみんな東京(築地)に集まると言われている。なぜなら高く売れるからだ。なるほどね、ブラガで高いブラゲッサを置いていても誰も買わないんだな、納得。しかしいくら旨いトロが食いたいからといって、Tassiは自分で釣りに行ほどのマニアではない。よし、早くポルトに戻ろう。