TRAVEL 続編

コソボ 1999.4.26

以前より規制が厳しくなったせいだろうか、メトロ構内では大人数かつおおっぴらにやっているストリート・ミュージシャンは少なかった。それでもかすかに楽器の音が聞こえてくることもある。例によって行き先とは全然違う音のする方角に行ってみると、連絡通路に彼らがいた。なんか稚拙でもの悲しいメロディー、そして非音楽的なタイミングが気になる少年のタンバリン。明らかに素人である。写真でははっきりしないが、アコーディオンのケースの内側には「KOSOVO......」と書かれた紙が貼られていた。コソボに義捐金を送ろうというのか、それとも彼の地から逃れてきた自分たちへの援助を求めてのパフォーマンスなのだろうか。書かれた文字の意味を知らないTassiはとにかく急いでシャッターを切り、ポケットにある小銭を全てケースの中に投げ込み、逃げるようにそこを後にした。「文字は後で解読しよう」そう思ったのだ。それにしてもまあ逃げることはなかったなあ。後で現像してみるとブレブレで判読不明、かろうじて「KOSOVO」が分かる程度。いったい何に動揺していたんだろう。



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