TRAVEL 番外編

羊の解体 1997.4.19

Tassiは旅行中によくお祭りや休日に遭遇することが多いと前に書いた。モロッコでの「闇酒調達ぼったくられ事件」やグラナダでの「1日中ホテル探しであ〜〜ぁ疲れた事件」など、なかなかの珍道中である。でもたまには普段見られない貴重な光景に出くわすことだってあるのだ。

散歩していたら赤い液体、それもドロっとしたのを見つけた。何かと思ってその行方を目で追ってみると、建物の間でおばさん達がなにやら「取引」しているのが見えた。肉のカタマリようなものを真ん中に置いて。その時初めて赤い液体が血だと解った。「おお、なんか危ないなあ....」そう思いすぐにその場をあとにした。何故か見てはイケナイもの(呪術的儀式?)を覗いたような気がしたのだ。ところがそのあと町のあちこちで同じような光景を見ようとは思いもよらなかった。あっちでは山盛りの腸をタライに乗せて高笑いしているおかみさん、こっちでは生きている羊をみんなで取り押さえて何か始めようとしていたりと。ベェ〜〜〜〜!(羊の鳴き声)

以前モロッコで羊を路上で丸ごと焼いているのを見たことがある。その時も確かイスラムの休日の時だったなあ。翌日街角で焼け焦げた羊の頭がゴロゴロしていた。Tassiは宗教のことはよく知らないので断言できないが、イスラムの世界では特別な日には羊をイケニエにするらしい。それにしても慣れた手つきだ、生きた羊をナイフ一丁であっという間に各パーツごとにちゃんと分解してしまうのだから。彼らにとって自分の手で羊をバラバラにすることは、そんなに特別なことではないのかもしれない。でももしかしたら右の長老は心の中でブツブツ言ってるかな、「最近の若者は羊一匹ちゃんとバラせない....」なんてね。

それにしてもさっきまで生きていた羊が、小一時間の間にこんなになるなんてちょっと信じられないなあ。ちょっとグロっていう感覚もあるだろうが、いつも自分が食べている肉どういう過程で食卓に並ぶのかっていうことをきちんと見ることは大切だと思う。